猫のつぶやき(=ΦωΦ=)

この前、空を見上げたのはいつですか?

令和二年 歌会始より/20200116

両陛下、未来担う世代詠む 令和初の歌会始

www.nikkei.com

新年恒例の「歌会始の儀」が16日、皇居・宮殿「松の間」で催された。令和となって初めてのお題は「望」。天皇、皇后両陛下や皇族方が詠まれた歌のほか、1万5324首の応募作から選ばれた10人の入選者、天皇陛下に招かれた召人(めしうど)らの歌が古式にのっとった節回しで披露された。

 (NHK総合で生中継していました)


会始の詠進要領の中で、今年のお題「」は「きぼう」と読まれていましたが、この字が使われていれば読みは関係なく、「望月」などを取り上げた天文関係の歌が多かったように思われました。全二十七首のうち十一首が空や天文・宇宙が詠まれていて、望遠鏡が入っていたり習字で「望」を書く際の旁の「月」に着目したものなどもあって嬉しかったり。
その十一首をご紹介します。(天皇皇后両陛下の御歌を掲載しないのは失礼でしょうか)全二十七首は、最初のリンク先をご参照下さい。(召人以下敬称略)


なお、令和三年の歌会始のお題は「」(じつ)。
先にしたためたように「実」の文字が詠み込まれていればよく、「実験」「果実」のような熟語や、「実る」のように訓読しても差し支えないそうです。
詳しい要領は以下をご参照ください。

www.kunaicho.go.jp

 

 

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秋篠宮皇嗣殿下

 

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秋篠宮眞子内親王

僭越ながら、深読みすると切ない御歌…。(T_T)

 

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三笠宮彬子女王

 

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召人 栗木京子

 

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選者 三枝昴之

 

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選者 永田和宏

 

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選者 今野寿美

 

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入選者 保立牧子

 

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入選者 石井信男

 

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入選者 柴山与志朗

 

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入選者 村上秀夫

 

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リンク先が記事が消えると困るので、備忘録として。

天皇陛下
学舎(まなびや)にひびかふ子らの弾む声さやけくあれとひたすら望む

皇后さま
災ひより立ち上がらむとする人に若きらの力希望もたらす

秋篠宮さま
祖父宮(おほぢみや)と望みし那須の高処(たかど)より煌めく銀河に心躍らす

秋篠宮紀子さま
高台に移れる校舎のきざはしに子らの咲かせし向日葵(ひまはり)望む

秋篠宮家長女眞子さま
望月に月の兎が棲まふかと思ふ心を持ちつぎゆかな

秋篠宮家次女佳子さま
六年間歩きつづけし通学路三笠山(みかさやま)より望みてたどる

常陸宮妃華子さま
ご即位の儀式に望みいにしへの装ひまとひ背(せ)なを正(ただ)せり

三笠宮寛仁親王妃信子さま
雪襞(ゆきひだ)をさやかに望む富士愛(め)でて平和な御代のはじまりにあふ

三笠宮家彬子さま
言の葉のたゆたふ湖の水際から漕ぎ出ださむと望月の舟

高円宮妃久子さま
サッカーに関はりたれば五輪への出場国をひた待ち望む

高円宮家長女承子さま
初めての展望台にはしやぐ子の父母とつなぎあふ小さな両手

▽召人(敬称略)
栗木京子
観覧車ゆふべの空をめぐりをりこれからかなふ望み灯して

▽選者(敬称略)
篠弘
書き上げし稿(かう)祈りてはファックスす望外なことを近頃はじむ

三枝昂之
丘陵に街に暮らしの歩をとめて人は仰げり望月立てり

永田和宏
なだらかな比叡の肩を照らしつつ昇る幾望(きばう)の、はた既望(きばう)の月

今野寿美
港から汽笛とどけば手にとれる望遠鏡なり蝶々夫人

内藤明
新しき靴履きて立つ街角にわが望郷の方位をさがす

▽入選者(敬称略)
三重県 森紀子
茶刈機のエンジン音は響(ひび)かひて彼方に望む春の伊勢湾

埼玉県 若山巌
百アールの田圃アートの出来映えを眺望するに櫓を組みぬ

東京都 保立牧子
創薬の望みを託す天空の「きぼう」の軌道に国境はなき

福岡県 石井信男
息を止め望遠鏡で本物の土星の環を見た夏の校庭

福岡県 粟屋融子
ランドセルは海渡りゆくアフガンの子らの希望を抱き留むるため

長崎県 柴山与志朗
望(もち)の日は漁師の父が家にゐて家族四人で夕餉を囲む

山形県 村上秀夫
それぞれに月傾けて子どもらは墨くろぐろと「望」の字を書く

神奈川県 森教子
今よりも人々の文字うつくしき平和を望む戦時下の日記

大阪府 土田真弓
眺望はどうだ晩夏に鳴く蝉を咥へて高く高く飛ぶ鳥

新潟県 篠田朱里
助手席で進路希望を話す時母は静かにラジオを消した